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工藤 保
Proceedings of 3rd Korea-Japan Joint Summer School (JSS-3) for Students and Young Researchers, p.203 - 210, 2007/08
TMI-2事故以後、燃料からの放射性物質放出に関して多くの実験データが得られた。しかしながら、これらデータは、大気圧,2900K以下の燃料温度で行われ、さらに、MOX燃料からの放射性物質放出や燃料の酸化と溶解の複合的な影響のデータは限られていた。そこで、VEGA計画では、0.1及び1.0MPaの圧力,3130Kまでの温度,UO及びMOX燃料の使用,不活性及び酸化雰囲気で実験が実施された。VEGA計画は、1.0MPaにおけるセシウムの放出は大気圧に比べて30%抑制されること、セシウムの放出速度は燃料の泡状化や溶融により2800K以上で加速することを示した。本報告ではおもに、UO及びMOX燃料からの放射性物質の放出、及び燃料の酸化と溶解の影響について記述する。
沢 和弘
Proceedings of 3rd Korea-Japan Joint Summer School (JSS-3) for Students and Young Researchers, p.147 - 153, 2007/08
高温ガス炉は、黒鉛減速・ヘリウム冷却の、高い温度の熱を取り出せると同時に固有の安全性を有数する魅力的な原子炉である。特に、高温ガス炉の核熱を利用した水素製造は、二酸化炭素削減のための有力な技術的選択肢の一つとなっている。燃料と材料の分野では、原子力機構が幾つかの重要な研究開発を進めている。技術の高度化として、高燃焼度対応の被覆燃料粒子及びZrC被覆粒子の開発を進めている。また、新型黒鉛やC/C複合材の開発を進めるとともに、炉心構造材の寿命延長を目指して、超音波や圧子押し込み法による炉内構造物の非破壊検査技術開発も開始した。本テキストでは、これらの研究開発の現状について紹介する。
小川 徹
no journal, ,
Generation-IV炉材料についての我が国の研究開発現状について、特にSFR, VHTR, SCWR用材料を中心に解説する。それぞれの炉に固有の環境下で、高温化と中性子照射量増大とに耐えるための材料の開発課題を取り上げ、また、関連するモデリング技術開発について述べる。
根本 義之
no journal, ,
日韓の学生及び若手研究者向けに、沸騰水型軽水炉(BWR)における応力腐食割れ(SCC)の基礎及びこれまでの事例,原子力機構における研究の概要を紹介する。1970年代におけるBWRでのSCCは高炭素濃度のオーステナイト・ステンレス鋼において、おもに溶接の熱影響で発生する、結晶粒界でのクロム炭化物の析出による鋭敏化を原因として発生していた。そのため、低炭素濃度のオーステナイト・ステンレス鋼が開発され、その適用によってSCCの発生は抑えられてきた。しかし、2000年以降、低炭素濃度のオーステナイト・ステンレス鋼でのSCCが報告され、再びBWRの設備利用率を下げる原因となっている。それらの材料は照射誘起応力腐食割れ(IASCC)の発生しきい線量よりもはるかに低い照射しか受けておらず、また鋭敏化も見られなかったため、SCCの発生及び進展の原因究明が必要とされている。そのため原子力機構では、原子間力顕微鏡(AFM)や3次元アトムプローブ(3D-APFIM),電子線後方散乱像(EBSP)等を応用した研究を行い、SCCの発生には表面加工層におけるすべり線近傍での優先的な腐食が、またSCCの進展には粒界部分でのナノレベルの元素偏析や応力集中が関係している可能性を示した。
飛田 徹
no journal, ,
原子炉の安全確保の観点から、原子炉圧力容器の健全性維持は、最も重要な点である。原子炉圧力容器の健全性に対して最も厳しい事象は非延性破壊であるため、十分に材料の延性が保たれる条件で使用されている。原子炉圧力容器を構成する鋼材は、炉心から の中性子照射によって延性脆性遷移温度が上昇する、いわゆる照射脆化が生じるため、供用期間中の照射脆化の程度を監視することとなっている。本報告では、原子炉の供用期間中に照射脆化を監視し健全性を評価する方法について概説する。